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四旬節黙想会

2019年04月20日

「喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい(ローマ12・15)」

3月30日(土)桜が満開になったにもかかわらず花冷えのする中、フランシスコ教皇が提唱している「主にささげる24時間」の一環として、幸田和生司教の指導による黙想会が開かれました。

第一講話 受難物語を味わう

山本神父の紹介の後、幸田司教は祈りと自己紹介から講話を始めました。話されることは、黙想会だけでなくミサでも、パソコンによる同時入力でプロジェクターに映し出され、参加者の理解の助けとなりました。

第一講話では聖書を一緒に深く味わいたいということで、まず、タイトルの一文が含まれた「ローマの信徒への手紙12・9-17」を朗読しました。そして、マルコ、マタイ、ルカ、ヨハネ、それぞれの福音書の受難の場面を読み、それらの違いを順に説明しました。

マルコの特徴は、それまで雄弁であったイエスが、裁判でもゴルゴダへの道でもしゃべらない、沈黙しているということにあると話しました。そして、十字架から降りず、無力になることで、本当に苦しむ人や絶望の淵にいる人とイエスがひとつになる、そこに救いがあると続けました。自分を無にすることがイエスの生き方、死に方であるとしました。

マタイによる福音書は朗読の後、マルコとほぼ同じであると簡単に触れました。

幸田司教 ルカが伝えるイエス像は、無力で苦しむ人であることは、マルコ、マタイと同じであるが、もはや何もできないのに、最後まで出会った人を愛するイエス、犯罪人と一緒に十字架にかかるイエス、神に祈り続け信頼を寄せるイエスであったと語りました。

最後にヨハネでは、まず、13・1にある「この世から父のもとへ移る御自分の時」は復活の時ではなく、イエスが自らの意思で十字架を背負った時であると話しました。そして、13・3でイエスは、弟子の足を洗うことで、弟子のしもべとなり友となったことを示され、だから弟子は互いに愛し合わなければいけない、これは模範というよりも根拠である、イエスが弟子の友となったことは極限の愛であるということでした。

さらに、19・25-27では弟子に母をゆだねたことから、マリアが教会の母となり、イエスと弟子は兄弟になったことが象徴的に描かれていると解説しました。そして、十字架の場面は、イエスが弟子と兄弟になり、愛そのものである神とひとつになることが実現したこと、イエスはこの時のために世に来たのであり、完成の時、栄光の時になったことを描いているとのことでした。

このように、4つの福音書の受難の場面ではそれぞれの描き方があり、それらを通してタイトルである「喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい。」という言葉を受け取っていけたら、と第一講話を結びました。

第二講話 福島の現実の中で

四旬節黙想休憩を挟み、第二講話で何度も強く発せられたメッセージは「大震災は8年前に起こったことだが、原発事故は8年前に始まって今も続いている」ということでした。

幸田司教は東京教区補佐司教在職中の2011年7月、東日本大震災と原発事故後の仙台教区の実態を把握するために福島県に入りました。原発から24.5kmの距離にある一番近い教会が南相馬市の原町教会でしたが、9月には避難指示が解除されて幸田司教らは活動を始めました。

東京教区が担ったのは福島県全域でしたが、何ができるのか見当もつかない中で現地の司祭の願いは「来て祈ってください。信者も避難して少ないけれどミサと祈りができるようにしてください」だったそうです。

カトリック東京ボランティアセンター(CTVC)では2012年6月にカリタス原町ベースを立ち上げ(後にカリタス南相馬に移転)多くのボランティアの活動を支えてきました。外遊びができない子どもたちのために作られた幼稚園での見守り、帰宅希望者の家の除染として木を伐採、地元の人の集会所(真心サロン)を設置、など多岐にわたって続けられています。

地元の人々も、農業は厳しいとみられる中で、酒米の生産や菜種油・唐辛子の商品化を進めています。修道会・仏教僧侶・作家・県民同士が工夫して力を出し合っているといいます。

しかしながら深く大きな問題点が残されていると、幸田司教は話を続けました。まず、世代間・地域間の不公平=これまで電力の需給により利益を受けて来た世代と、今後負の部分を受け継ぐ次世代とでは不公平が生じ、福島だけに汚染物質の問題が押し付けられていく懸念もあります。次に、国の帰還政策の問題点=帰りたい人のための環境整備は重要ですが、帰れない人の避難する権利や補償が奪われていく不安があります。また心の問題として福島だけに震災関連死が突出して多いこともあります。

幸田司教幸田司教は、最後にカトリック教会が福島にあることの意味は、共に喜び、共に泣き、共に苦しむイエスとひとつになって歩んでいくためです。と結び3時間に及ぶ四旬節講話が終了しました。

講話後、喜びの主日のミサで山本神父と共同司式を行いました。薔薇(ばら)色の司祭服は初めてでとても恥ずかしいけれど、縁の深い山本神父から言われて断れませんでしたと、大いに照れて聖堂内を和ませました。

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