2023年09月08日

1931年に喜多見(現成城)教会が東京教区の所属教会となって以来、帰天した歴代主任司祭が14人います。戸田神父をはじめとし写真を用いて紹介します。その中で在任期間の長かった4人について、よく知る人に思い出を語ってもらいました。

故 市川神父 -イエス様のような人-

とにかく謙虚な神父であった。小さな声で朴訥とした口調で話された。立派なことを言わなければというところが全くなく、自分は凡人だから偉そうなことはとても言えないよ、と口癖のように言われた。いつも私たちと同じ立ち位置で、私たちと同じような感覚で話された。

よくビールを飲みながら戦争に行ったときの話をされたが、戦争は反対だ、と熱く語るのではなく、本当に疲れて嫌だった、という話ばかりであった。

青年会で神父と一緒にポーカーゲームをしたことがあった。そのとき賭けるのは信徒だった。ずいぶん不謹慎な話にも聞こえるが、信徒が神父のところに集まればそれは神様のお望みなのだと妙に納得した思い出がある。

言葉ではなく謙虚に黙々と神様と人々に奉仕する姿は温かく優しく、まさにイエス様のようであった。(K.S)

故 関戸神父　-信念の人-

土曜学校などを通して子どもたちの教育に注力した。特に年に一度の錬成会準備への力の入れようは半端なく、リーダーに任せず初めから関わった。参加者40～50人の子どもの性格をよく把握し、的確なグループ分けを行った。子どもたちに美味しいものを食べさせないといけないという信念で自ら町まで肉を買いに出かけた。母親を通さずに直接子どもの指導をしていた。たくさん練習してキャンプファイヤーで披露した聖劇は良い思い出。

美声の神父の下でよく歌の練習をした。典礼に力を入れるだけではなく、美智子上皇后作詞「ねむの木の子守歌」を取り入れたりしたので、皆が楽しめた。

優しいけれど芯が通った人柄は、子どもたちや家族に尊敬されていた。　(S.A)

故 ルイ神父　-宣教する人-

着任当日、神父を支える会の人たちが車３台ほどを連ねて到着した。よほど慕われていたと見られ、歓迎する側が少人数で恐縮したことをよく覚えている。

信徒らと食事を共にし、時間を共有することを大事にした。車を運転し、颯爽とすべての信徒宅を隈なく訪問していた。それまで教会に足の向かなかった信徒がミサに参加するようになり、日曜日の聖堂は席が埋まり立つ人も多数いた。

ミサが終わるとすぐに、ベレー帽にマフラー、着古したコートに着替え、一人ひとりに声をかける。贈り物の甘い菓子(特にチョコレート)は喜んで頬張るも、金品類はすべて寄付に回した。これぞ往年から続く宣教師の姿と感じた。

クレープ作りが特技。故郷の味とユーモアで皆をもてなした。(T.Ｍ)

故 デイキン神父　-よく聴く人-

彼の思い出となる品が成城教会にある。1996 年6月、ご聖体を聖堂に安置するために礼拝会に眠っていた聖櫃を移した。普段は信徒の目に触れない聖櫃だが、聖木曜日から聖金曜日にかけて別室に置く聖櫃として、今もなお活用されている。

顔が広く、カル―大司教(当時ローマ教皇庁大使)をはじめ故白柳枢機卿、森司教など多数の司教や司祭の訪問を得ていた。

近所の人からは、エド神父と呼ばれて馴染んでいた。

ゆるしの秘跡に力を入れ、毎回、聖コロンバン会などの神父の協力を得て教会一杯に神父が散らばり、告白を聴いていた。祈ることをとても大切にしていた。

サバチカルの間も教会屋根の補修に向けて寄付を集めていたらしい。(G.O)