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多摩地区 平和旬間 2009 「貧困と闘い、平和を築く」
2009年08月09日
2009年8月9日 カトリック町田教会
講師:ベリス・メルセス宣教修道女会 シスター 清水靖子
講演を聞きにこられた多摩地区の信者さんで埋め尽くされた聖堂で、参加者全員による平和のための祈り、聖歌、大司教メッセージの朗読など、「平和を祈る集い」のセレモニーがスタートしました。
シスター清水は、「森と魚と激戦地」と題して、2 時間以上に及ぶ講演で熱く語られました。 シスターは、幼少時代を私たちの住む多摩地区の三鷹村で過ごされたという自己紹介からお話が始まりました。多摩丘陵とその周辺地域の豊かな自然の成り立ちを1000 年前までさかのぼり、航空写真を交えて詳しく紹介されました。また、多摩地区にある里山を守る狸たちの姿をアニメにした「平成狸合戦ぽんぽこ」の話にまで及びました。シスターが、アニメになった現場を訪れてみると、現在も残された里山(稲城にある)があり、そこを命がけで守ろうとしているナメコ栽培農家の内田竹彦さんの「退路を断った」(この里山を命がけで守るという意味)という言葉に感銘を受けたそうです。
シスターは、1980 年から6 年間、グアムとサイパンの高校で教鞭をとられ、その間も現地の人々とともに、日本政府による放射性廃棄物の海洋投棄計画反対運動に尽力されました。帰国後も、太平洋諸島の環境問題、特にその熱帯雨林を守る活動を人々とともに展開されています。その中から、パプアニューギニアとソロモン諸島を中心に、わずかに残された原生林とその中に住む多様性に富んだ生物の数々、人々の素敵な写真を紹介されました。「原生林の中にいる子どもたちの瞳は輝いている」。このシスターの言葉がとても印象的でした。スライドで紹介された素敵な原生林も、シスターをはじめ人々がともに活動した結果、伐採から逃れたものであり、市民レベルでの活動の重要性を強調されました。
話の後半は、美しい自然や人々の写真とは対照的に、原生林の伐採状況やその後に起こる自然の荒廃、異常気象、また、人間はなぜそのようなことをしてしまうのかなど、日本との関係も含め非常に詳しい説明がなされました。会場からは、心が締め付けられる想いとともに、あまりにも無残に壊されていく森林の写真に多くの反応がありました。
その他、ODAや日本に輸入されてくるマグロをめぐる諸問題、原子力発電と海水温上昇との関係や核廃棄物の問題、第二次世界大戦中にパプアニューギニアとソロモン諸島で起こった人々の悲惨な状況など、話は多岐に及びました。
シスターのご活躍の幅の広さと住民との深い信頼関係、命がけで諸問題に取り組まれている様子をすべてお聞きするには短かすぎるとも言える2時間でした。シスターは、講演の最後に「小さいことは美しい」という言葉を述べられ、市民レベルでの活動の重要性を再度強調されました。
講演終了後も、場所を地下の集会室に移して茶話会が行われました。シスターは、長時間の講演後にもかかわらず、出席者からの質問に1 つ1 つ丁寧にお答えになっていらっしゃいました。
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