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死者の月に思う

2014年11月01日

古郡 忠夫 (カトリック成城教会 助任司祭)

カトリック教会は伝統的に11月を死者の月として過ごす。それは、11月1日に「諸聖人の祭日」を祝い、翌2日に、すべての死者を記念して祈る「死者の日」を祝うことに由来している。キリスト教の信仰は、死んでしまったらそれでおしまいという信仰ではない。洗礼によって、キリストの死と結ばれ、その復活とも結ばれるわたしたちは、神のいのちと結ばれ、永遠のいのちを生きることができるのだという信仰。だからこそ、わたしたちは、「聖徒の交わりを信じます」と信仰宣言し、今はこの世を去った大切な方が天の御父のもとで安らいでいると希望を持ち、その方のために祈ることができる。

わたしたちは、儒教の影響か、日本語で「聖人」と言えば、道徳を体現した素晴らしい人、理想の人を連想するかもしれない。でもラテン語の聖人sanctus, sancta は、もともと「取り分けられた」という意味であり、聖人という人は、神様に取り分けられた人を意味している。

つまり、司教・司祭・助祭のように叙階の秘跡によって、ordo 聖職位階を受けて、神様から特別な使命、役割を受けた人や、シスター、ブラザーみたいに神様の招きに応えて、神様のために生涯自分を捧げると約束した奉献生活者は、神様に取り分けられた人として、聖人だと言うことができるはずだし、洗礼によって神の子とされた人々は、もっとも広い意味で聖なる人々だと言うことができるはずだ。さらには、地上の生活を終えて、神様に召されて、天上の教会の一員になった人々も、神様のものになっているのだから、全員聖人なのである。

その中でも教会は、もうすでに神様のもとに召された人の中から、その生き方が多くの人に特別なメッセージを持つ人、その人の生き方を見たときにキリストをいっそうよく理解し、愛するようにさせてくれる人を列聖される聖人として、典礼の中で公式に祝うことで、その生き方を思い起こして、神様に感謝を捧げているのだが、何よりも忘れてはいけないのは、わたしたちキリスト信者も神様によって「取り分けられている」ということ、すべての人が聖性に招かれている列聖されない聖人なのだということである。

先日、わたしが生まれる以前からわたしのために祈り続けてくださっていたあるシスターが帰天された。もうこの世でシスターを見ることはできない。しかし、わたしはそのシスターをもっと身近に感じるようになった。わたしを神様へと近づけてくれた多くの聖人が、またわたしも聖人として、神様のものとして生きることができるように祈っていてくれている。

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