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共にいる
2012年03月01日
赤岩 聰 (東京教区司祭)
私たちは、消費社会の中に生きています。こうした社会の中では、次々と登場てくる新しいモノを追い求めずにはいられないような風潮がとても強いものです。ニュースなどの情報の扱いも同様です。次から次へと新しい出来事が起きてくる中、マス・メディアが過去のニュースをいつまでも取り扱うようなことは滅多にはありません。同じ日のニュース番組の枠の中でさえ、キャスターが悲しい表情で悲惨な事故の情報を伝えたかと思えば、次の瞬間には、その同じキャスターが笑顔でスポーツの情報を伝えたりします。このように、矢継ぎ早に現れる情報が次々に消費されていっている、さらには、どんどん使い捨てにされている状況があります。
皆さん、ご存じの通り、昨年の2011 年3 月11 日に起きた東日本大震災の被災地のニュースも時が経つにつれ、マス・メディアで扱われる頻度が徐々に減ってきています。しかし、そうしたニュースが扱う出来事の背後には、被災者の方々一人ひとりが向き合わなければならない、被災地で、または避難先で、日々生きていく上での厳しい現実が依然として続いています。
そうした被災地の現状を、そして被災された人たちの現実を前にして、「何かをし
なければいけない」、「自分にできることは何だろう」という思いが私たちを突き動かします。遠く離れた現地にすぐさま飛んで行って、瓦礫撤去や泥出しなどの作業を手伝う人たちもいるでしょう。救援物資や募金などの物質的な援助をする人たちもいるでしょう。また、被災地の人たちのためにお祈りをする人も多いでしょう。お祈りは、距離や国境など、あらゆる隔たりを超えていくものです。現に、日本だけではなく、世界中の人たちが、目に見える物質的な援助のほかにも、目には見えない霊的な援助を祈りという形で、「共にいる」というメッセージと共に、日本の被災者の方々に送ってくださっています。
「友のために自分の命を捨てること、これ以上に大きな愛はない」(ヨハネ15・13 )と言います。私たちが、苦しみのうちにある人たちのために祈るために、それぞれに神様から与えられた命という限られた時間の一部を特別に意識して使い続ける先にあるのは、その命を捨てるほどの大きな愛であるといえるかもしれません。
「援助をいただく側として、(規模の大小の問題を超えて、援助を)長く続けてもらう
ことが一番ありがたい」とは、仙台教区のある神父様の言葉です。「継続は力なり」という言葉がありますが、一人ひとりは小さいながらも、被災者の方々に心を向け続ける、その方々のために祈り続ける私たち、そして、そうした祈りが込められた様々な形での援助をしていける私たちでありたいと思います。
幼少期に成城教会で受洗後、神学生として2004年4月から 2005年3月まで当教会で司牧実習。
昨年11 月から年初まで仙台教区に派遣されていました。
ミサ・講座 MASS / SEMINARS
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