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ユスト高山右近-長い忍耐のいる殉教

2025年02月01日

山本量太郎 (カトリック成城教会主任司祭)

2月3日は福者ユスト高山右近殉教者の記念日です。戦国時代から江戸時代初期にかけての代表的なキリシタン大名であるユスト高山右近が福者に列せられたのが2017年でしたから、もう8年前のことになります。

ここでは、殉教者としての高山右近について、その列福に貢献された故溝部脩司教の文章を要約しながら紹介したいと思います。

列福から8年

高山右近が殉教者として列福されたことには深い意味があります。殉教者と言うと生々しい処刑を想像しますが、右近はいくら望んでもそのような殉教ができませんでした。日本26聖人の殉教(1597年2月5日)のころ、右近も殉教を切望していましたが、かなえられませんでした。徳川幕府の禁教令が出されたころ(1612~3年)、右近は喜んで死ぬ覚悟ができていましたが、結局、彼が処せられたのはマニラへの追放でした。

神は、死刑による殉教を右近にお許しになりませんでした。キリストのために勇んで身をささげたいという思いはかなえられませんでした。それは右近に、生きるも死ぬもすべて神のみ手の中にあることを分からせるためだったのです。

右近にあてはまるものです。死のうと思っても死ねない殉教とでも言ったらいいのでしょうか。右近がようやくたどりついたのは、信仰のために国を追われ、その地で自分の魂を神に返すことでした。長い殉教がやっと終わりました。それは1615年の、くしくも日本26聖人殉教と同じ2月5日でした。

現代の教会への問いかけ

右近のこのような生涯は、現代日本の教会への大きな問いかけとなっています。現代の日本で信仰のために命を奪われることはないでしょう。でも、私たちキリスト信者は、日々の生活の辛苦を喜んで耐え、すべてを神に委ねる生き方を選ぶよう招かれているのです。それは「長い忍耐がいる殉教」にほかなりません。

神はユスト高山右近を通して、現代の日本の信者に、生きるべき道、長い忍耐がいる殉教ともいうべき道を示そうとしているのではないでしょうか。

福者ユスト高山右近の記念日の祈願

すべての人の救いを望まれる神よ、福者ユスト高山右近殉教者は、福音に忠実に従う道を選び、すべての地位と名誉を捨て、祖国から追放されて殉教を遂げました。わたしたちもその模範にならい、この世の力や誘惑に打ち勝ち、決して揺るぐことのない信仰を生きることができますように。わたしたちの主イエス・キリストによって。アーメン。

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