ニュース NEWS
うしろすがた
2014年06月01日
古郡 忠夫 (カトリック成城教会 助任司祭)
後ろ姿を想うとき、祖父を思い出す。幼児のときの記憶。小さい、小さい「後ろ姿」というより、「うしろすがた」というべき最初の記憶。
司祭として働かせていただいている。こんなに素晴らしい生き方はない。苦しいこともあるし、胸が引き裂かれるような思いになることもある。でも、人との交わりの中で、それでもたしかに神がここにいる、神がこの人とともにいると感じながら、日々を喜びのうちに生きる恵みが与えられている。こんなにも素晴らしい生き方はない。
教会では、神の声を聴き、神の望みを生きていこうとすることを、召される命と書いて「召命」(羅:vocatio, 英:vocation)と呼んでいる。色々な出来事を通して、神に司祭になるように言われているのではないかと思った。そして何よりも、自分の、司祭になりたいという自由な希望に正直に、賭けのような気持ちで志願し、教会に受け入れられて、今のわたしがある。では、なぜそのような気持ちになったのだろう。自分の召命の何よりのきっかけ、最初のきっかけは祖父であった。
祖父は戦前に築地教会で洗礼を受けていた。祖父は、戦争で先妻を亡くし、祖母と結婚している。わたしの父親は8人兄弟の末っ子であったので、祖父はわたしが生まれたときには、既に高齢、75歳くらいであった。さらに、祖父は深川で材木屋をやっていて、木を切り続け、大きな音を聞き続けたがために、耳がほとんど聞こえなくなっていた。下の階に祖父は住んでいたので、毎日のように祖父、祖母のところへ遊びに行った。祖父は毎日、決まった時間に家庭祭壇でお祈りをしていた。ロザリオを唱え、祈祷書を唱えていた。祖父の後ろ姿をじっと見ていた。祖父はわたしに気がつくとわたしを迎え、一緒にお祈りをした。祖父の本気で祈っている姿、神に向かっている姿を見て、わたしは「あぁ神様という方はたしかにおられるんだ」「すべてを超える絶対者がいるんだ」と、子どもながらに悟った。祖父と外に出かければ、祖父は必ずホームレスのおじさんに声をかけていた。祖父は耳が聞こえないので、わたしがいつも祖父とおじさんの通訳になった。
あれから月日は流れた。神は高齢の、耳の聞こえない祖父を使って、わたしに召命 を与えてくださった。苦しい時、辛い時、原点に戻って、祖父の「うしろすがた」を思い出す。そう、たしかに神はおられる。
ミサ・講座 MASS / SEMINARS
カトリック成城教会
〒157-0066 東京都世田谷区成城 2-21-16
TEL: 03-3417-5211
FAX: 03-3417-0790
受付時間
月曜~金曜 9:00~12:00、13:00~16:00
土曜 9:00~12:00、13:00~19:00
日曜日 7:00~12:00
電車でお越しの方
小田急線「成城学園前」駅南口より徒歩約2分
バスでお越しの方
二子玉川、渋谷・三軒茶屋方面から
小田急バス・東急バス「成城町」または「成城学園前」
バス停より徒歩約2分
調布方面から
小田急バス「成城学園前」バス停より徒歩約3分
お車でお越しの方
駐車スペースについて
当教会内には駐車可能なスペースが数台分ありますが、十分な設備とはいえません。当教会へお越しの際は、原則として公共交通機関をご利用ください。また、日曜日の9時から12時までが駐車禁止のほか、その他の曜日や時間帯も駐車できないことがありますので、お車でお越しになる場合は、駐車が可能かどうか事前の問い合わせをお願いします。
三軒茶屋方面から
世田谷通り「砧小学校」交差点を右折後、「成城二丁目」交差点を右折、2ブロック目左角
町田方面から
世田谷通り「砧小学校」交差点を左折後、「成城二丁目」交差点を右折、2ブロック目左角