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マリアさまの心
2020年08月29日
山本量太郎 (カトリック成城教会主任司祭)
皆さんよくご存じの「マリアさまの心」という聖歌があります。子どもだけでなく大人にも広く親しまれています。「マリアさまの心、それは青空。わたしたちを包む広い青空」で始まりますが、2節「強い樫の木」、3節「森のうぐいす」、4節「白い山ゆり」、そして最後の節は「光るサファイア」です。私はある時ふと、数ある宝石の中で、なぜ「サファイア」なのかと思いました。なぜダイヤモンドではいけないのかとも思いました。私は生まれてこの方、高価な宝石類を手に取ったこともありませんが、サファイアは確か青色の宝石だったような気がしました。
それで調べてみると、やはりサファイアという名前は、ラテン語の「青色」を意味するサフィルスからきていました。だから漢字でも、碧玉(へきぎょく)、青玉(せいぎょく)と書くのです。マリアさまの色は昔から「青」ですから、「マリアさまの心、それはサファイア」で決まりだと思いました。
その時、もう一つ分かったことがあります。それはサファイアが9月の誕生石だということです。サファイアは、マリアさまの誕生石でした。カトリック教会では、5世紀にまで遡る古い伝統に基づいて、9月8日に「聖マリアの誕生」を祝っているのです。
聖マリアの誕生に関する記述は聖書にはありませんから、何月何日に生まれたか分かりません。9月8日はマリアの誕生日というわけではなく、9月8日にマリアの誕生の記念を行うと教会が決めて祝っているのです。どこで生まれたかも分かりませんが、おそらくナザレで生まれ育ったのであろうと推測できます。ナザレという小さな村の、名もなく貧しい家で生まれた一人の女の子が救い主の母となるという、とてつもない出来事が起こったのです。聖マリアの誕生の祝日は、マリア自身をたたえるというよりも、救い主の母となる御方をこの世に生まれさせた神の偉大なわざをたたえる日といったほうがいいでしょう。
なお、太平洋戦争が始まったのは1941年12月8日(無原罪の聖マリアの祭日)、その太平洋戦争が終わったのが1945年8月15日(聖母の被昇天の祭日)だったとよく言われますが、もう一つ加えれば、その戦争状態を終結させるサンフランシスコ講和条約が調印されたのは1951年9月8日(聖母マリアの誕生の祝日)でした。
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