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自分探しははかどっていますか
2008年07月01日
奥村 豊 (京都教区司祭)
「コーコハ ドーコ イマハーイーツーナノ ワターシハ ダーアレー」 久保田早紀の歌った「夢がたり」という曲の最後の部分ですが、歌詞カードには、 「ここはどこ、今はいつなの、わたしは誰」と書かれていたように思います。
言葉が表現しようとしている内容の虚ろさをわたしも表現してみたくて、冒頭にカタカナで書いてみました。「わたしは誰・・・ここはどこ」などという言葉は記憶を失った人特有のものでしょうし、日常生活で真面目に使うものでもありませんし、言い方によっては冗談になるようなものです。しかし、久保田早紀の「異邦人」が大ヒットしたのは恐らく二十九年ほど前なので、同じ頃彼女は「夢がたり」を歌い、わたしはそれを聞き、いまだに「ここはどこ、今はいつなの、わたしは誰」が一日一度は脳裏をよぎるのですから、単なる冗談でもわたしの記憶に障害が起こっているのでもなく、この乾いて閉じ込められた言葉の中に、意義深い精神性を感じているのでしょう。それだけでなく、今はキリスト者としてまた司祭として「どこ」「いつ」「わたしは誰」と問い続けている次第です。
昨今「自分探し」が流行っています。この流行としての自分探しが気にくわない。そんなものは中学生ぐらいからやり始めて、成人した頃にはある程度の目途をつけておくものでしょう。それが青年ばかりか、いい年をした人までもが、この流行の自分探しを文字通り流行として行っている。コンビニのような場所に売っている流行の商品を物色するかのように。
神の国はどこにありますか。それは「ここにある、あそこにある」というものではない。まさに、わたしたちの間にあるのです。キリストはどこにいますか。キリストの名によって二人三人が集まるところにおられます。イエスは誰ですか。完全な人であり完全な神です。その時はいつ来るのですか。それを案じるよりも自分の足元を、今はみたらどうでしょう。
わたしが誰なのか、今という時はどのような時なのか、わたしはどこから来てどこを歩いていて、どこに向かっているのか。これらの問いは深刻な問いです。「自分探し」の流行を手放しで喜べないわたしですが、流行としてではない、人生を賭して解決すべき問題である「どこ、いつ、わたしは誰」については、キリスト者として、司祭として考え続けたいと思います。
何も不安に思うことはないでしょう。イエスが教えてくれます。聖霊が助けてくれます。父である神が愛してくれています。いつくしみ深い神に感謝。アーメン。
※福島神父の神学校時代の同級生で、当教会でミサの司式をしていただいています。
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