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ウビ・カリタス・イビ・デウス
2019年07月01日
山本 量太郎 (カトリック成城教会 主任司祭)
5月28日、近くの登戸で凄惨な事件が起こりました。一か月以上たった今も心が痛みます。実は、私は創立当時からカリタス学園と関わりがあります。妹が3人、カリタス学園の卒業生なのです。そして今は毎日、カリタス幼稚園の送迎バスが成城教会を利用され、可愛い園児たちの姿をよく見かけます。カリタス学園はそういう身近な存在ですので、それだけに他人事とは思えないのです。
カリタス学園の「カリタス」は、「愛」という意味のラテン語です。いうまでもなく、カトリックのミッションスクールです。今はもうシスターは一人も学校で働いていませんが、カナダのケベック・カリタス修道女会が経営母体となっています。カリタス学園の精神は、いうまでもなく「カリタス」、すなわち「普遍的な愛」を生きることです。普遍的な愛とは何でしょうか。それは、敵味方の関係なく助けることであり、誰かを恨んだり憎んだりするのではない解決を目指していくことにつながります。
ケベック・カリタス修道女会の基を作った聖マルグリット・デュービルは、カナダで最初の聖人となった方ですが、そのカリタスの精神を文字通り生き抜いた方として尊敬されています。彼女の生きた当時の18世紀のカナダでは、イギリスとフランスが戦争をしていましたが、フランス側に属していたマルグリットは、危険を恐れずイギリス兵もかくまったと言われています。
今回の事件の後、今もなお、やり場のない憤りがあるのは事実ですし、犯人への憎しみの感情がわいてきてしまうのも確かですが、これ以上、憤りと憎しみと恐れに満ちた社会になってしまわないように、カリタス学園の皆さんが、そのモットーであるカリタス、愛の精神を見失うことなく、今直面している大きな困難を乗り越えていくことができますように祈りたいと思います。
「カリタス」、「愛」という名前の学校が深い傷を負いました。そのカリタス、愛の精神がチャレンジを受けました。でも、チャレンジを受けているのはカリタス学園だけではありません。わたしたちカトリック教会の一人ひとりも、その生き方が問われているのです。「ウビ・カリタス・イビ・デウス」(愛のあるところに神はいる)は、カトリック教会のモットーでもあるはずですから。
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